25.8月のはじめくらい 貧すれば鈍した日
1.
お金が怪しくなってきました。
円が世界的にどうだとかって話ではなく、蓄えの方です。
ここ数日の間にいろんな税の通知が届いてしまったので払い込んでいるのですが、どれもこれも2万弱はくだらないのでとても重たい。ヘビー級ボクサーのボディブローでじわじわスタミナを奪われていく感じ。
引き落としに設定するのは背筋に冷たいものを感じるのでコンビニで都度払い込む形を取っているのだけど、そのためには毎度ATMを経由する必要があるわけで、一向に増える気配にない残高を見ていると心がチクチクしてくる。お前に残された時間はこれだけなんだぞって、うるさいなあわかっているよ。そんなに自己主張してこないでくれ。
例えば健常者はカレンダーを見ても今日という日付を認識するだけだろうけれど、脳内に増えることのない残高の数字が刻まれた僕たちは、日付から寿命を計算してしまう。
わかりますか。あとどのくらいで自分が立ち行かなくなるのかわかってしまう恐怖が。
なら働けばいいじゃないって、そんな正論を投げられても困る。それができたら寿命なんて気にしやしないよ。
「もしこのままなら、君はあとこれだけの命です。それが嫌ならがんばりましょう。あぁでも気をつけて。その命は焦るほどに消費します。だからそう、がんばるにしても心を落ち着けて。そうですね、あなたは酸素の供給が途絶えた宇宙船の搭乗員みたいなものなのですから」
なんて、くだらないなあ。
ところで貧すれば鈍するって、ラップっぽくないですか。韻踏んでるし。