20.7月のはじめくらい 傘の骨を折られた日

1.

仕事をやめてからぼんやりする時間が増えました。

前々から霞かかっていた思考は輪をかけてぼやけにぼやけ、思考もままならない日が多いです。悪いことではないんですけどね。ふわふわして楽しいですよ。考えたり悩んだりすることは疲れちゃうからね。

 

2.

ふわふわしすぎているせいで、生活リズムが崩れ気味なのですが、深夜の時間帯はすることがなくて苦痛だったりします。ゲームもそんなにやらないし、読書は疲れるし、外に出ても誰もいないし、部屋にテレビはないし、ノートパソコンの上には衣服が積み重なっている。あ、この間ようやくタンス買ったんですよ。それまでは7年くらいタンスのない生活をしてました。一応備え付けのクローゼットがあるので、そこに軽く畳んで放り込んでおくといつの間にか穴が空いてたりするんですよね。タンスでもそうなるのかなあ。

そんなわけで外界と繋がっているのは実質スマホだけで、ぼんやりネットサーフィンをして夜を過ごすのですが、ネットサーフィンをしようにも興味のあることが少なすぎて見るものがないのだよね。ウィキペディアのランダム記事をブックマークしてあるのでそれを眺めるくらいしかすることがない。

それはあまり健全じゃないし、ならせめて世間でどんなことが流行っているのかを知るためにインスタグラムとかツイッターの動画とか、接点のない人たちのページを飛び回って覗き見たりしているんだけど、気がつくといつも鬱々とした界隈にたどり着いている。

おれはもっとこう、夏! 海! 水着! みたいな人たちを観察したいのに、気がつくと薬! 酒! 自殺! みたいな人たちのコミュニティにたどり着いてしまって、それを見ながら寝落ちしていくものだから心にあまりよくない。栄養があるからって虫を食べさせられているような気持ちになる。栄養は必要だけど種類を選ばないと毒にしかならないんだよね。

 

3.

ただそれがつまらないかと言われるとそうでもなくて、やっぱり本質的なところで似通っているのか、それを見てニヤニヤしていることに気づいてハッとすることもあるんですよね。よくないなあ。

そういえばその中の人で、4月くらいから見守っていたのだけど、なんだか最近死んでしまったらしい。2ちゃんにスレが立っててびっくりした。

相当こじらせたメンヘラだったみたいで、誰かに対する呪いの言葉に併せて投稿された動画がすごく面白かったんだよね。

咳止め薬のブロンというものがあって、これは多量摂取をすることで簡単にトリップできる(弱い覚醒剤みたいな成分らしい)ものなのだけれど、それをマグカップに水と一緒に入れ、マドラーでガシガシと掻き回しているだけの動画。

水を入れて掻き回しているのはたぶん錠剤を覆っている糖衣を剥がすためだと思うけれど、水が真っ白に染まってそれを捨てたかと思ったらまた水を入れて掻き回してをただ繰り返す内容だったんだよね。完全にキマっている行動で変な笑いが出てしまった。

 

4.

彼女は最期の瞬間をどうも動画配信していたらしく、その動画が出てきたことで2ちゃんでは盛り上がっていた。

その動画についているレスが、どれもこれも映画みたいだとかそんなものばかりで、人の生き死にはあまり見るべきではないと思って履いたのだけれど気になってしまいリンクを開くと、なるほど確かに映画のようだった。映画なんて詳しくはないけれど、映画館で上映しているようなものではなくて、学生なんかが集まって撮ったような雰囲気を持った、そんな映画が近い。ノイズがちらつくようなイメージ。

なら安っちいだけじゃないかと言われたらそうではなくて、というか人の最期の行動に安っちいなんてわけはあるはずなくて、潔さすら感じてしまうものだった。たぶんその時もキマっていたんだろうなあ。そう思うと潔いとは違ってくるかもしれないけれど、肝の据わっている人間の行動には息を呑むものがあるってことだけはよくわかる。

自分も肝を据え、おどおどせず、堂々と生きていきたいなあと思いました。