42.1月のはじめくらい 町の静かな日

1.

 ちゃんと確認したわけじゃないからわからないけれど、そろそろこのブログも1周年くらいなんじゃないかと思いました。おめでたいね。仕事もろくに続けられず1年ちょっとで辞めた人間がこんなに同じことを続けられる、それは素晴らしいことだと思います。この世の大迷惑たる人間にもできることはあるんですね。

 

2.

 お金なんかはちょっとでいいのだって、そう思っているけれど、お金は大切ですよ。毎回毎回コンビニで年金やら保険やらの督促状を出して料金を支払うのは恥ずかしいものです。恥ずかしい。もう生きてることが恥ずかしいからこれ以上はないと思っていたのだけれど、恥ずかしいものは恥ずかしい。

 一体どんな顔と身なりで督促状を持ってお金を払いに行けばいいのかとこれまで数回試行錯誤をしてみたのですが、だらしない服装とボサボサの髪で支払いを済ませるのが一番違和感のないスマートさを演出できるものでした。スーツはあまりよくない。スーツは社会人の一員である証だと思うのですが、そのスーツを着ているにも関わらず督促状なんか持っていくと「あ、ニートが無理してスーツ着てる」みたいな目を向けられることになります。これはあまりよろしくない。事実ニートだったのでぐうの音も出ないのですが、人は真正面から言われると傷つくことだってあるんです。

 次に若々しい学生っぽい格好、これはまあ及第点でしょう。学生っぽい服装で督促状とか持っていくとなんだか苦学生感が出ますよね。たぶん店員さんもどうじょうしてくれるでしょう。ただしこれには落とし穴があって、そもそも学生の間は年金とかの支払いが免除されてるので賢い店員に当たってしまうと、これまた変な目で見られてしまう。若いと自営業感も出ないから余計疑いの目を向けられる。いや、疑いも何もちゃんと支払いに来ているじゃないか、督促されてしまってはいるけれど、ちゃんと現金で払おうとしているんだぞ! と、強気の態度を取ってみても違和感を持たれることに変わりないからね。深夜のワンオペ時とか、頭の悪そうな店員がレジをしてる時間ならおすすめできるかもしれない。

 そして最も適しているであろうだらしないファッション、通称深夜ドンキファッション。これはおすすめです。元がだらしないのでそこから何をしても引かれたりすることがない。早く帰ってほしいオーラは出されますがそれだけです。おすすめ。ハーゲンダッツとか買うと「だから貧乏なんだよ」って露骨に態度に出される。でも僕もそう思います。

 

3.

 この間、上司から最近読んでいる本を聞かれた。別に熱心に読んでいるわけではないけれどその時たまたまカバンにはカフカの短編集が入っていたから、それを伝えようと思ったのだけれど、何を思ったのか「カントの短編集」と言ってしまい、上司は困惑した顔で「カントって作家は知らないなあ……」といい、僕は僕でカフカと伝えたつもりでいたので頭大丈夫かよこいつと思いながらも「ドイツの古い作家で……」とさらに自分と上司に追い打ちをかけ、その場はなんとなく流れていきました。

 帰りの電車で本を取り出したときにそのことに気づいて、うわあ恥ずかしいことをしたなあと思ったのですが、僕は奇跡的に嘘はついていない。カントは思想家ではあるものの本は出していたはずだし、ドイツ人なのも間違いではなかったはず。なんという偶然か噛み合ってしまった。まあ、たぶん短編集はないだろうけれど。あの人がわざわざ探してまで読むことはないだろうと高をくくっている。

 ちなみにカフカは読んでいてイライラしてくるので、一通り読み終えてから資源ごみに出しました。

 古い作家って、やたら難解な文章が評価されていたりするけれども、それって単にお前の文章力が低いだけなんじゃあないんですか? わかりやすく書けばいいものを無意味にぐちゃぐちゃと書いて、なんだかそれっぽくしているだけなんじゃないだろうかと思うときがある。

 作品に豊かな要素を持たせてくれるのは嬉しいけれど、行き過ぎた栄養は毒になってしまうし、甘すぎるお菓子は嫌われるでしょう。ちゃんと言葉を紡げ。自分の中で完結するな。そんなこともできないから現代になってもだらだら研究されてるんだよ。いっぺん死んで書き直してこい。